彼女の初めて手料理

「今日は私が作るね、材料も買ってきたから座って待ってて」
「お、おお!マジか!分かった、ありがとう、何作るのん?」
「まあまあ、それは後のお楽しみということで」

そんな鶴の恩返し的な所から始まる、初めての手料理問題。
男の立場から、作って貰う編だ。
10年前、僕が初めて彼女に作ってあげた「たらこスパゲッテイ」は
彼女に無言で塩コショウかけられたのは黒歴史。
よって、今回は作って貰う編だ。

付き合って、ちょっとした頃のプチイベント、彼女の手料理。
ハンバーグ?オムライス?カレー?パスタ?

初めての手料理、何考えて作る?って女友達に聞けば、
「本に肉じゃがと筑前煮さえマスターすれば男はイチコロだって書いてあった」
という答えが。

いや美味いけどな、肉じゃがと筑前煮美味いけどな。
未だに肉じゃが神格化されてんのか。いつまで手料理=肉じゃがやねん。

「あ、でも私は筑前煮断念した」
「なんで?」
「筑前煮は、本来の素材の味を最大限に引き出しつつ、出汁を染み込まさなければならない」
って何かで言ってたから、それは無理だなって、あはははは」

あはははは、じゃねえ。
素材の味を引き出さなあかんのは全部やろ、なんも作れへんがな。
引き出されへんかった肉じゃがはどうやねん。おい。

そんな女友達は彼氏募集中、いい子なので誰か。

話を10年前に戻して、初めての彼女、初めての手料理。
僕はドキドキしながら待ちました。

「出来たよー」

僕の目の前に出てきたのは「きのこうどん」だった。

「お、ああうどんか、なるほどね、うどんね、美味しいよね」

1番初めに挙げたハンバーグやオムライスを想像していた僕は
正直少し拍子抜けした。
うどん、確かに美味しい。けど思てたんと違う…。
うどんには悪いが、華やかさが足りない…。

「うわー!ハンバーグじゃーん!うまそー!」
「でしょー!頑張って作ったんだよー!美味しく出来てればいいけど!」

みたいな甘い会話を繰り広げると思ってた。
「お、ああうどんか、なるほどね、うどんね、美味しいよね」

まあ、彼女がせっかく作ってくれたんだし…。

「いただきまーす」

あれ、ん?美味いな、あれ、美味いなこれ。ただのうどんじゃねえ。
何これ、うまっ、すげえ美味い。うそ、すげえ美味い。

驚く程美味かったうどんは、即座に僕の胃袋の中へ。

「めっっちゃ美味しかった!凄いな!どこで覚えたの?」

「実は…」

彼女は少し言いづらそうな顔をして、

「…実は元カレの実家がうどん屋で、レシピ盗んだ」

お、ああ元カレか、なるほどね、うどん屋ね、そりゃ美味しいよね。

複雑―。

でも彼女とこのうどんに罪はない。だって美味いし。
美味しいものは正義。

その後、そんな美味しいものを作れる彼女と色んなものを食べ、
色んな店に行き、美味しいものを知り、僕の手作りたらこスパゲッティに
塩コショウをかけられ、僕は「食」に興味を持つようになり、
今こうやって飯の文章を書くようになったのです。

彼女ときのこうどんと元カレの実家に感謝。

複雑―。

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