給食にまつわる話 ユーコイケ編

初めて残した給食を覚えている。

小学校に入学し、毎日給食を食べることになるのだが、7歳というと世の中にまだ食べた事のないものがたくさん存在し、給食で初めて口にしたものも多かった。私は幼い頃から割と好き嫌いなく何でも食べた。親に「好き嫌いをするな」と特に厳しく言われた記憶はないが、食べられないほど嫌いなものがある、という子のことが正直よくわからなかった。だって不味くても頑張れば食べられないことないじゃない…!そう思って7年生きてきた私は、給食も特に残すことはなく(少食だった為量を減らす事はあったが。)小学校生活を送っていた。

その日の献立には、私の食べたことのないものがあった。その名は「粕汁」。献立表の説明をみると、酒粕というものが入った汁物らしい。酒粕って何だろうか。酒と名はついているが、私達は7歳。酒を飲めるようになるまではまだ13年もあるわけだから、私の知っている「酒」とは違うものなのだろう。父が夕食時に飲んでいる「酒」は、ちびっと舐めたことはあるが、決して美味しい物ではなかったし、何より「これは…子どもが口にしてはいけないものだ…」という危機感が凄かった。舐めただけなのに喉が熱くなり、明らかに体内にアラート音が鳴っていた。

給食当番さんが運んでくれた、初めて見た粕汁は、よく食べる豚汁の、少し色が白っぽいものだった。しかし、なんとなく匂いに私の知っている「酒」の気配があるのだ。やはり酒粕は「酒」絡みの何かなのだな。ただ私達は7歳だ。父が飲んでいる「酒」とは別物なのは確かだし、湯気の立つ粕汁はとても美味しそうだ。

みんなで揃って「いただきます」を終え、ついに、生まれて初めての粕汁を、口に流し込む。

「え、酒やん」

いや酒やん!!父のあの酒やん!!あかん、めっちゃ体内にアラート音鳴ってる。「これは子どもが口にしたらあかんやつや」てなってる!…え?!これ7歳が食べていいやつなん?!間違ってない?!なんか間違ってない?!こんなん食べれへんよなぁ?!7歳のみんな食べれへんよな…食べてるー!みんな普通に食べてるー!!!

こうして私は初めて給食終了後に給食室へ行き、お椀の中身を残飯用のバケツに流し入れたのである。頑張っても食べられないものが、世の中には、あった。

幸いにも「粕汁」は給食に滅多に登場せず、学年が上になるにつれ何となく普通に食べれるようになり、今では粕汁はちょっとテンション上がるくらい好きな食べ物なのだが、粕汁を見る度思う。7歳という年齢は、粕汁を美味いと思うのには、早すぎやしないかね、と。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中